受託者が行う会計業務とは?
家族信託の受託者は、委託者(受益者)の財産を
管理するので、財産状況を受益者に対し、
毎年1回は報告する義務があります。
なお、報告義務は信託契約書で別途の定めを
することで、軽減・免除させることも可能です。
報告にあたり以下のものを作成する必要があります。
信託帳簿・財産状況開示資料
1.信託帳簿
管理する財産に関する帳簿ですが、
家族信託は、家族内で財産管理を行う方法で、
受託者自身も会計のプロではないので、
「仕訳帳」や「総勘定元帳」など通常の会計で
作成されるレベルのものまでは不要です。
現金管理の帳簿は「現金出納帳」、預貯金であれば
「預金通帳(使途をメモしたもの)」で十分です。
もちろん、領収書などを保管するファイルやノートで
使途内容の証明は必要です。
契約書で「帳簿は、現金出納帳及び預貯金通帳の写しをもって代え
るものとし、仕訳帳、総勘定元帳等の会計帳簿の作成は要しない。」
旨を定め、受託者が作成するものを明示すると良いでしょう。
2.財産状況開示資料
財産状況開示資料は、現在の財産目録ですが、
自宅や現金を管理する一般的な信託では、
信託契約書の一部として作成される「信託財産目録」が
そのまま流用できるので、変動がある現金部分を
資料作成時の残高に修正すれば足ります。
受益者の確定申告のサポート
信託財産の中に収益不動産がある場合、
受益者(親)は確定申告を今まで通りに
行う必要があります。
個人の場合は、毎年1月1日より
12月31日までの収支状況を整理し、
翌年2月~3月に確定申告を行うので、
受託者は信託財産の収支状況を整理し、
受益者(親)はその資料を基に確定申告を
行うことになります。
認知症や病気などで受益者(親)が自分で
確定申告できなくなった場合は、受託者が
申告や納税手続きを行います。
確定申告及び納税手続きは、適正な納税が
されれば構わないので、納税者の本人確認は
厳格に求められないので、受託者(子)が
受益者(親)の名前で申告及び納税しても
問題ありません。