信託終了時の登録免許税
家族信託は「委託者の死亡」「当事者の合意」
などで終了します。
不動産には信託されている旨の記載が
あるので、信託終了によって不動産を
取得する人名義にします。
信託終了時の登記手続き
信託終了で、不動産を取得するのが
受託者自身でも、不動産の名義は
「受託者」から「所有者」へ
所有権移転登記の手続きが必要です。
登記原因: 信託財産引継
登録免許税:所有権移転分 固定資産税評価額の2%
信託抹消分 不動産の数×1,000円
登録免許税が軽減されるケース
元々の所有者に移転するとき
②信託期間中に委託者、受益者の変更がない
③信託終了時に委託者が取得する
上記の要件に該当する場合には、所有権移転登記の
登録免許税が非課税になります。
元々の所有者から管理を任された不動産を
返すだけだからです。
なお、信託登記の抹消に係る登録免許税は課税されます。
委託者の相続人が取得するとき
②信託設定時から「委託者=元本の受益者」である
③財産を取得する受益者(帰属権利者)が、信託設定時の委託者の相続人
上記に該当する場合、所有権移転登記の
登録免許税が固定資産税評価額の0.4%に
軽減されます。
軽減措置を受けるには工夫が必要
子ども:受託者、財産の帰属権利者
信託終了:委託者である父親の死亡
という典型的なケースで考えてみます。
①子どもが帰属権利者として財産を取得
③子どもなので当然委託者(父親)の相続人
問題は②の要件をみたすか
委託者の死亡に終了する信託の場合、
委託者の地位の承継という概念が難しいですが、
委託者の地位は、残余財産の帰属権利者のみに
承継される」という規定を置くことで、
子どもが委託者=受益者(帰属権利者)になり、
上記②の要件を充たすことができます。
国税局も「信託契約書で、委託者の地位が残余財産の
帰属権利者に引き継がれていることが明確な場合」には
登録免許税の軽減措置の適用があることを示しています。
(平成30年12月18日名古屋国税局文書回答事例)
「委託者の地位が残余財産の帰属権利者引き継がれる
旨の記載がない」場合に、登録免許税の軽減措置の
適用がないとは限りませんが、より確実にリスクなく
軽減措置を受けるには委託者の地位について契約書で
規定しておくことが大切です。