信託と税務手続き
家族信託を設定・運用していくうえで
税務届出が必要なこともあります。
信託期間に行う税務届出について
まとめてみました。
信託開始後の税務届出
信託契約を締結後に行う税務手続きとして、
信託契約の日の属する月の翌月末日までに
信託に関する受益者別調書」及び「信託に
関する受益者別調書合計表」を税務署に
提出します。
この届出は贈与税の課税対象になるかどうかを
税務署に判断させるためです。
届出が不要な場合
以下の場合には、受益者別調書を
税務署に提出する必要はありません。
①受益者別に当該信託の信託財産の相続税評価額が
50万円以下の場合
50万円以下の場合
②委託者と受託者が同一(自益信託)の場合
①は少額の財産の移転であり、②は実質的な財産の移転がなく、
ともに贈与税の課税対象ではないので、提出不要になります。
家族信託は、自益信託で設定することが基本ですので、
信託契約後に税務手続きを行うことは少ないです。
信託期間中の税務届出
受託者は毎年1月31日までに「信託の計算書」
「信託の計算書合計表」を税務署に提出します。
信託財産から生じる家賃・利息などの収益は
受益者に帰属しますが、収益に対する所得税を
課税するために提出するものです。
届出が不要な場合
信託財産からの収益の額が3万円以下
(信託の計算期間が1年未満の場合は1万5千円以下)の
場合には、信託計算書の提出は不要です。
自宅や金銭のみを信託財産とした場合には、
収益が生じないので信託計算書の提出は不要です。
アパートや駐車場など収益性がある信託財産であれば、
上記の基準額以上の収益があるのが一般的なので、
信託計算書の提出が必要です。