信託開始後の受託者の事務
家族信託を開始した後に、管理者たる受託者が
行う事務内容として、以下のものがあります。
不動産登記手続き
信託財産の不動産について、受託者固有の
財産とは別個に管理する義務があるので、
当該不動産を受託者名義に変更します。
信託された旨の登記手続きは速やかに行います。
なお、信託の登記は義務になるので、
信託契約で登記手続きを免除することは
できません。
信託に関する登記は、精査する事項も多いので
司法書士に委任することも当然できます。
その際には、委託者・受託者の双方からの
委任が必要になります。
信託口口座の開設
公正証書で作成した契約書を持参して
銀行口座に開設依頼を行います。
契約書作成前に契約書案を確認し、
銀行が定める条項の有無、その他
弁護士のリーガルチェックを通すことが
前提となる銀行もありますので、
事前に銀行に確認が必要です。
信託口口座の開設が難しい場合には
事前に作成し契約書に記載してある
代用の信託専用口座を活用することに
なります。
管理口座に入金
委託者から信託口口座などの管理口座に
入金を行います。
家族信託が開始しても、受託者が委託者の
口座から現金を引き出すことはできないので、
委託者が元気でしっかりしている間に
現金を管理口座に移動させることが大切です。
火災保険の変更
建物には火災保険がかけてある場合が
多いので、保険契約者の変更手続きが
必要です。
ただ、信託は実質的な財産移動ではない
ことを考慮して、契約者変更の手続きは
不要とする保険会社もありますので、
保険会社に個別に確認することになります。
賃料の振込先変更の通知
各賃借人に対して、賃料の振込先が
受託者の管理口座に変更になった旨の
通知をします。
不動産管理会社が賃料を回収している時は、
不動産管理会社に連絡して、受託者の
管理口座に賃料を振り込むように連絡します。