家族信託にデメリットは何かあるの?
家族信託は財産の柔軟な管理や資産承継に
メリットが多い家族信託ですが、反対に
デメリットは何かあるのでしょうか?
よくデメリットとして挙げられる項目は
以下のものです。
身上監護は対応できない
身上監護とは本人の「生活、療養看護および
財産の管理に関する事務」を行うことです。
具体的には、医療や介護サービス等の契約や
老人ホームなど施設等への入退去の契約などの手続き
などを行います。
家族信託は「財産を管理する制度」ですので、
財産以外の委託者本人の代理権はありません。
家族信託できる状態で身上監護の代理権は必要?
家族信託を行う場合には、「信頼できる家族(受託者)」が
身近にいることが前提となります。
家族(ほとんどは子ども)が親の代わりに手続きを行うことは可能です。
年金など役所手続き・入院手続き・施設の入所契約など、
本人の家族であれば、問題なく代わりにできます。
そう考えると、家族信託を設定できる環境にあるならば、
身上監護の権限がなくても、実際は何も困らない
ケースがほとんどではないでしょうか!?
不動産の損益通算ができない
「信託不動産(Aマンション)」と「信託していない不動産(Bアパート)」
があった場合に、仮に信託不動産(Aマンション)で損失が発生しても、
それを利益が発生した信託してない不動産(Bアパート)の利益と相殺し、
利益を少なくできません。
「信託財産の不動産から生じた損失はないものする」ことになります。
ただ、信託財産の不動産から生じた利益は、信託していない不動産の
損失と損益通算はできます。
複数の信託契約がある場合も損益通算できない
信託契約を複数締結し、各々に不動産を信託した場合は
損益通算できません。
信託契約というカゴごとに、収支計算を行います。
委託者が複数の収益物件を保有している場合に
別個の信託契約では損益通算できないことになるので、
事前に税理士の確認を得ることが必要です。
契約までの労力や専門家への費用
これをデメリットというのか分かりませんが、
他の手段(遺言・任意後見契約など)と比較して
専門家との打ち合わせは何度も行うことになりますし、
報酬もそれなりに必要になります。
- 家族信託を行う目的を実現するスキーム作成
- 定型化されている制度はない
- この先数年~数十年の期間の財産管理を
柔軟に行える - いざという時に財産が凍結されない安心感
- 家族信託の実務・コンサルティングできる
専門家は僅少
上記のことを考慮すれば、多少の労力、費用が
必要なのは当たり前だと思います。
専門家を介せずに行うことは無謀
自力でインターネットで見つけた契約書を基に
作成する人もいるでしょう。
ただ、家族の状況・財産の種類、管理処分方法・
信託の終了時期・終了事由・帰属権利者の決め方
など・・事案ごとに全く異なります。
実際の家族信託の契約書はインターネットや
本のひな形には掲載されていない事項も決め、
予期しない信託終了や税金の課税を防ぐように
組み立てます。
家族信託契約書(らしきもの)ができても
贈与税が課税されるかもしれませんし、
信託が終了すると同時に「共有化」や
「帰属権利者が認知症」などの事情で
財産が凍結するリスクは否定できません。
イチかバチかの綱渡りみたいな感じですね。
家族信託にデメリットはない
自宅や現金を信託財産とする場合は、デメリットはありませんし、
信託財産に収益不動産が存在しても、損益通算のみ気をつければ、
デメリットはありません。