共有による不都合も家族信託で解決
家族信託は認知症対策だけでなく、共有から
生じる不都合の解決手段にもなります。
不動産の共有による不都合
不動産が共有状態になると、不動産の活用が
著しく制限されことになります。
不動産を売却するには共有者全員の同意が、
賃貸するには持分価額の過半数の同意が必要です。
共有する人数が数十人となったり、
共有者間の人間関係が悪くなったりすると
不動産の売却は事実上不可能になってしまい、
不動産が凍結します。
共有者の1人が認知症などで判断能力が低下したり、
行方不明になっても同様です。
共有者全員の実印・印鑑証明書がなければ
不動産を処分することができないからです。
空き家問題が叫ばれていますが、数世代に渡って
相続の権利関係が解決されない結果、数十人~
数百人の相続人による共有状態が発生することで、
空き家の増加に拍車をかけることになります。
家族信託で共有問題を解決
親の相続で不動産を3人で共有している兄弟がいれば、
3人が元気で、人間関係が良好な時に信託契約をします。
受託者として管理処分の権限を1人に任せます。
受益権(売却代金などを得る権利)は3人で準共有
する信託の内容にします。
こうすることで、受託者以外の兄弟の関与なしに
受託者のみで売買契約も可能になります。
売却代金は共有割合に応じて各自が取得します。
管理処分の権限を持つ人を少なくした分だけ
各契約も簡便にできるようになります。
共有者全員の印鑑がなくても、売ったり、貸したり
でき、不動産の有効な活用が可能になります。