家族信託と税金
家族信託と税金について
家族信託を行うことで税金が発生したりするのでしょうか?
家族信託と関連する税金について説明します。
不動産取得税
不動産を信託すると不動産の登記記録の所有者の欄に
受託者の名前が記録されますが、実質的な所有者は
委託者のままです。
受託者が実質的な財産権を取得したわけではないので、
不動産取得税は課税されません。
登録免許税
不動産の名義を受託者に変更する手数料です。
土地の名義変更にかかる登録免許税:固定資産評価額の0.3%
建物の名義変更にかかる登録免許税:固定資産評価額の0.4%
(令和2年1月現在)
贈与であれば登録免許税は固定資産評価額の2%ですので、
贈与に比べて登録免許税軽減がされています。
固定資産税
固定資産税は4月1日~翌年3月31日までの分が
毎年1月1日現在の所有者に課税されます。
不動産登記記録の名義変更を行うことで、
受託者宛に市町村から固定資産税の納付通知が
届きます。
ただ、実質的な所有者は委託者のままですので、
受託者は委託者の財産から支払うことになります。
相続税
信託契約期間中に委託者の死亡により財産の承継が
行われてもは、相続税の計算については、通常の相続と
変わりません。
相続税に関しては、信託はないものとして扱われます。
基礎となる財産の評価方法も、信託とは関係なく
変わりません。
「小規模宅地等の特例」「配偶者の特例」などの適用の有無は
変わりませんので、要件を充たせば、軽減特例が適用されます。
贈与税
家族信託の基本的な仕組みは、
委託者(父親)が受益者(父親)自身の利益を守るために
受託者(子ども)に財産管理を任せるものです。
「委託者」=「受益者」である信託を自益信託といいますが、
この場合には、実質的に財産権は何も移動していないので、
贈与税は課税されません。
委託者と受益権が異なる信託の形態をを他益信託といいますが、
他益信託の場合には、委託者(父親)から受益者(母親など)に
財産が移動してますので、贈与税が課税されます。
所得税
貸アパートを信託財産にした場合、賃料は受託者が
管理する口座に入金されますが、その金銭は
自益信託の場合は委託者(受益者)のものです。
そこで実質の所有者である委託者(受益者)が
信託する以前と同じく不動産所得などを申告します。