信託する目的を決めよう!
目的は信託の方向性を示すもの
家族信託を検討するにあたって、
「何のために信託を行うのか」を
決めることを最初に行います。
信託する目的に沿って、財産を管理する
受託者は権限を行使しますので、
信託目的は、信託を行うにあたって
基本的な方向性を定める指針であり、
受託者の権限の範囲を画するものになります。
他に受益者にどのような利益を給付するのか
信託目的で定めます。
認知症対策として信託を行う場合には
「本信託は受託者の信託財産の適正な
管理・運用・処分を通じて、受益者が
平穏な日常生活が送れるようにする」
などと定めます
(実際は、もっと詳細な記載をします)
受託者をはじめ、信託に関わる人が
適正な信託を行う判断基準になるので、
信託の目的は詳細に記載することが必要です。
注意点① 信託事務と混合していないか
信託の目的は、信託の方向性を示すもので、
受託者の管理方法など信託事務と区別する
ことが必要です。
信託事務の具体的な内容を目的に記載すると、
事務内容を変更する際に信託目的の変更が
必要になります。
信託の目的が変われば、信託を最初から
設計することにもなり兼ねません。
注意点② 信託目的が複数になっていないか
例えば、信託目的を「自宅での生活を送ること」と
「平穏無事な生活」と定めた場合、自宅での生活が
難しくなり、老人ホームに入所したいと思っても、
自宅を売却して入所費用に充てることが可能なのか
受託者は判断することができません。
老人ホームに入所することは「平穏無事な生活」に
資することになりますが、自宅を売却することは
「自宅での生活を送ること」に反します。
どちらの目的を優先するのか迷うような
目的の定め方は避けましょう。