信託契約書は公正証書?私文書?
家族信託を契約する形式として、
公証役場で作成する公正証書で契約する場合と
公証役場を活用することなく、当事者間で
作成する私文書で契約する場合もあります。
公正証書と私文書、どちらで作成可能ですし、
契約書の効力自体に優劣はありませんが、
家族信託は数年~数十年の間継続するものなので
公正証書を作成することをお勧めします。
公正証書と私文書のメリット・デメリットは以下の通りです。
公正証書 | 私文書 | |
---|---|---|
メリット |
①契約書を紛失しても再発行可能
②公証人による本人確認・意思確認がされるので後々の紛争防止になる ③信託口座の開設が可能 |
①いつでも作成可能
(土日祝日や夜間でも可能) ②200円の印紙代のみのコストで作成可能 |
デメリット |
①公証人との打合せを重ねる必要が
あり、時間がかかる ②公証人の手数料が必要(35000円~) ③公証役場の営業時間内でのみ作成可能 |
①契約書を紛失しても再発行できない
②判断能力の欠如や日付の改ざんなどを理由としたトラブルの可能性 ③金融機関での口座開設ができない |
私文書の問題点
私文書で契約する場合は、委託者と受託者の2者間で
作成し、客観的な第三者が関与しないので、以下の点で
トラブルが起こり得ます。
①当事者が関与しているのか?
契約書に当事者の署名・捺印があっても
親が知らない間に勝手に親の印鑑を捺印したり、
親の署名を代筆したのでは?ということで
紛争になる可能性があります。
②日付を遡って記載したのでは?
契約書を作成した際には、親の痴ほうが進んでいたので、
親がしっかりとした頃の日付を記載したのではないか?
と疑われる可能性があります。
私文書で作成する場合は宣誓認証の活用を
どうしても私文書で契約書を作成する場合には、
公証人の面前で、契約書の内容が真実であるということを宣誓し、
認証してもらう制度である、宣誓認証を活用すると良いでしょう。
宣誓認証を活用すると、公証役場が文書を1通保管するので
内容を変えたり、日付を遡るなどの偽造防止が可能です。
公正証書の強み
公正証書で作成することは以下の点で紛争防止になります。
①契約書の保管
契約書の原本は公正証書で保管されるので、
当事者が契約書を紛失しても、再発行可能です。
また、日付を遡ったりすることも防止できます。
②意思確認
客観的な第三者である公証人が当事者と面談し、
本人確認及び意思確認をしっかりと行いますし、
信託の内容についても確認をしますので、
後々、契約の有効性に関してのトラブルを
防止することができます。
公正証書で作成することが必須の場合もある
銀行で「信託口口座(信託専用口座」)を作成する際には
必ず公正証書で作成された契約書が必要になります。
銀行としては、後々にトラブルとなり得る可能性が高い
信託には関与しないというスタンスを取っています。