信託財産の換価が前提なら清算受託者を!
契約で定めた事由が生じてたり、
信託法163条の終了規定に該当して
家族信託が終了すると、信託財産の
清算手続きを「清算受託者」が行います。
清算受託者は通常受託者がそのまま就任しますが、
契約で別人を指定することも可能です。
清算受託者の職務
清算受託者の主な職務は以下のものです。
①債権の取り立て・回収及び債務の弁済
②残余財産の帰属権利者への引き渡し
基本的には、プラスの財産を回収し、
債務を支払い、残った信託財産を
引き渡します。
清算受託者は清算手続きが主な任務ですので、
信託業法の適用は受けませんので、
専門家が就任することも可能です。
不動産処分が目的の信託には必須
老親が所有している不動産の売却が目的で
家族信託を活用する場合には、清算受託者の
権限で手続きがスムーズにできます。
老親(委託者)が健在している間に不動産が
処分できるとは限りません。
もし、不動産の処分前に老親が亡くなって
しまうと、受益者連続型の信託以外であれば、
信託が終了します。
信託が終了すると、子ども(受託者)名義の
信託登記を抹消し、帰属権利者(相続人)に
名義を変更することになります。
その際、名義変更の実費(登録免許税)が
固定資産税評価額の0.4%必要です。
仮に1億円の評価額であれば、40万円の
実費が必要になります。
清算受託者に不動産売却の権限を与えておく
不動産の処分前に老親が亡くなる可能性が
ある場合には、仮に不動産売却前に親が
亡くなってもスムーズに処分できるように
清算受託者に不動産売却の権限を信託契約で
与えておきます。
信託契約書に「委託者が死亡しても
不動産を換価処分できる」旨の内容を
定めておくことで、親が亡くなり、
信託が終了するにも関わらず、
受託者名義のまま売却することが
できます。